ももだろう
おばあちゃん、きびだんごを作り始める手はずをする。

「キッチンに粉があったじゃろうて」

おじいちゃんの一言で察したおばあちゃんは、キッチン、もとい台所へそそくさと足を走らせる。

この時代にとってはとても貴重なきびだんご。

とっても貴重な上新粉、白玉粉である。

大雑把なおばあちゃんは、そのお粉をとって、適当に、上新粉150g、白玉粉30gを手に取り、水でひょひょいと溶いて塩で味付けをし、ゴマをまぶした。

簡単な料理に見えて、実は簡単ではないきびだんご。

「これは耳たぶぐらいのかたさにしてあげんと」

と、ぼそぼそと呟きながら、しっかりとそのお粉と水を、適度良く混ぜ合わせているのであった。

待つこと30分。

ようやく15人前のきびだんごならぬ、月見団子的なものが出来上がったそうな。

おじいちゃん、腹をすかせて先にご飯をぱくぱく食べている。

「おじいちゃん、出来ましたよ」

の合図でやっとこさおじいちゃんに、おいしいおいしいきびだんごが手渡されたそうな。

「行ってきまーす」

の合図でおじいちゃんはのそのそと大きな大きな山の方に足を運んで行ったそうな。

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