ももだろう
おばあちゃんは、やや哀しそうな目でおじいちゃんを見送り、きびだんごを作り終わった手前、疲れて床に入ったとさ。

永眠。

「......」

嘘だとさ。

おじいちゃんはその後、そんなおばあちゃんを尻目にのそのそと芝刈りに、ではなく、山に鬼退治に行ったそうな。

おじいちゃんがその大きな大きな巨体を動かしながらそいそいと山を登っていると、というか、歩いていると、目の前に犬が出現した。

というか、おじいちゃんの視力からしてその犬がおっただけなのだが。

おじちゃん、その犬を見かねて一つ訪ねた。

「ここの山の周辺に鬼の住処があると聞いたのだが、どこにあるのか知らんかね」

そう、おじいちゃんは犬に対して心で尋ねた。

するとおじいちゃんが目を丸くして思った。

「ここら辺にはいないぞよ」

なんと、犬が喋ったのである。

恐る恐るおじいちゃんがその犬をよーく見ると、その犬は人面犬ではない。

人の形をしているわけでもない。

ではどうやって言葉を発しているのだろうかと、ふと思ったのである。

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