逆バレンタインは波乱の予感!?
彼のことはずっと好きだった。
いまだってまだ、愛している。

けれど最近はぬるま湯のような関係が心地よくて、完全にそれに甘えきっていた。

彼の前でもあまり化粧をしなくなった。
出かけるとき、以前のように頑張って可愛い私を作らなくなった。

自分を作らなくていい気楽さがよかったのだけれど、彼からしてみればそれが不満だったのかもしれない。

「努力不足、だよね……」

今日だってバレンタインのチョコを渡さなかった。
きっと、そんな小さな積み重ねが、彼の不満に繋がった。

「明日からどんな顔して会えばいいのよ……」

いまさら悔やんでも仕方ないのに、後悔ばかりが思い浮かぶ。
丸くなった膝の中で嗚咽が響いた。

――ピンポーン。

不意に、インターホンが鳴った。
たぶん宅配便かなにかだろうと無視した、が。
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