逆バレンタインは波乱の予感!?
半ば押し切られる形でドアチェーンを外した。
入ってきた途端、彼は私を抱きしめた。

「泣いてたのか」

「……泣いてない」

泣き腫らした目で言ったって隠せないのに、嘘をついた。
だって未練があるなんて思われたくなかったから。

「チョコと間違ってあっちを渡した俺が悪いけど。
でもあれはもともと、お前のために準備したの」

「嘘」


「だいたいなんで俺が、お前以外の奴と結婚しなきゃいけないんだよ」

ゆっくり、ゆっくりと彼の手が私の髪を撫でる。

「だってもうずっとレスだし。
私のこと、嫌いになったのかなって」

「あー」

髪を撫でていた手がいなくなり、見上げると彼はがしがしと自分の髪を掻いていた。

「……好きだから」
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