逆バレンタインは波乱の予感!?
そっと彼の袖を引く。
こんなことをいまさら言うのは恥ずかしくて顔を上げられない。

「あー……」

なぜか彼は天井を仰いだ。

「だから。
俺はお前を大事にしたいの。
大事にしたいからめちゃくちゃ我慢してるの。
……わかって?」

「そんなの、わかんないっ。
好きなのに我慢するとか。
我慢してほしくない」

「あー……」

転ばないようにそっと背中に手を回し、どんどん彼が部屋の奥へと私を押し込んでいく。
気がついたときには背中がベッドについていた。

「俺がいままで、どれだけ我慢していたか知らないで。
焚きつけたのはお前だからな。
後悔しても俺は知らん」

シュルッ、ネクタイを緩めた彼は――捕食者の目をしていた。
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