Snow White Princess
「ショートケーキは、この子にあげてください」

女の子は驚いた顔をし、「いいの?」と僕を見つめる。僕は「もちろん!ママたちを喜ばせてあげてね」と笑って言った。

「お兄ちゃん、ありがとう!!」

女の子は満面の笑みでお礼を言い、ケーキを受け取って帰って行く。それを笑顔で見送った後、僕はショーケースを見た。残ったのは、彼女があまり好きではないケーキばかり。仕方ない、諦めるか……。

「また今度来ます」

そう言い、帰ろうとした僕だったが、「あの、お客様!」と店員さんに呼び止められた。店員さんはアップルパイの入ったトレイを持っている。

「よろしければ、今度商品として出そうと思っているこちらのアップルパイを食べていただけませんか?もちろん、お代は結構です。お店にまた来ていただいた時に感想を聞かせていただければ……」

焼き立てのアップルパイは、今すぐかぶりつきたいほどおいしそうだ。僕は「いいんですか?嬉しいです!」と言い、アップルパイを箱に詰めてもらう。
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