獣人騎士団 アヴシャルーア
副団長 サミュエル
この世界は、不思議だけど楽しさに溢れている。
この国は、様々な生態系で成り立っている。
犬系.猫系.鼠系.熊系.竜系.鳥系等、多種多様の獣人や人間で、構成されている。
それぞれの人種での価値観の違いが、様々な問題を引き起こしている、それを取り締まるのが。
〔獣人騎士団アヴシャルーア〕
騎士団長 獅子の獣人アイザック
副団長 大鷹の獣人サミュエル
元帥 狼の獣人ローガン
軍師 虎の獣人ディラン
参謀 雪豹の獣人ノア
大将 熊の獣人エリオット
その他、多種多様の獣人騎士が、国や街を日々護っている。
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騎士団本部での、上層部定例会議が終了して、サミュエルが廊下を歩いていると。
「おいおい!サミュエル知ってっか?海岸の噂!」
「なんだ、ディラン叫ぶなよ煩い、肩組むなよ暑苦しい」
背後から近寄って来て、肩に腕をかけようとしてくる、ディランをサミュエルは素早く躱す。
「ひっでぇなぁ~ディラン泣いちゃう~昨夜はあんなに熱く激しい一夜を過ごしたのにぃ~」
「やめろ、変な誤解受けるだろうが、お前のつがいが実家に帰ってるから、暇だからと体術の訓練してたんだろう!もう付き合わないぞ」
「ごめんなさい。サミュエル様お詫びに、海岸の人魚の噂お教えしますから!お許しください」
「さっきも言ってたなぁどんな噂なんだ」
「それがさぁ~夜中の海岸で、真っ白い真珠の様な肌の、ツヤツヤな足首までの黒髪をなびかせた。べっぴんな人魚を見たって、奴らがいるんだよ!」
「人魚なんてここ1000年間、存在確認無いと思うぞ、もしいるなら、騒ぎになるな」
「だろだろ!今晩一緒に探しに、行かないか?」
「おいおい、保護しに行くんだろ、まぁいい。どーせ今日もお前のつがいが居ないから、淋しいだけだろうが」
「お願いサミュエル様」
「仕方ない、了解」
(両手で拝む様にするディランに、負けてしまった。それに、何かしら行かないと駄目な予感がしたんだ。野性の本能かもしれない…鷹にそんな本能あったか?)
「おい、サミュエル様。俺お腹が空いて倒れそうなそうなんだよ。ルイ亭の親父んとこで、早い晩飯にしようぜ!」
「いいぞ」
サミュエルたちは、騎士団本部から近くに位置する、騎士団御用達の食堂に行く事にした。
ルイ亭は、見かけは悪いが味は街でも評判の食堂だ。狸の獣人の親父さんと狐の獣人の女将さんの、夫婦2人で切り盛りしている繁盛店だ。
「親父さん飯~」
「ディラン煩いぞぉ!今日は特別いい食材が、入ってきたんだ!美味いの作ってやるから、待ってろ」
奥から声が聞こえてきてディランは勝手知ったるで、ズカズカ店に入って行き、置いてあるコップに水を入れてがぶ飲みし始めた。
「あれ?この娘だれ、娘さんなんていたっけ」
ふとディランが、横を見ると女の人が窓を拭いていた。
「ああ、今かみさんが調子悪くてなぁ。アリスっていうんだけど、手伝って貰ってるんだよ。虐めるなよ」
「そんなことし…
「親父さん。私も居るからもう一つ、追加で」
「ああ~ごめんごめん、親父さんサミュエルの分もね!」
「おう!待ってろ」
2人は近くの席に座り、食べ物が来るのを待った。サミュエルの水が無かった為、アリスが持って来てくれた。
(あれ?いつもの食堂なのに、何か匂う?なんだこの匂い…初めて嗅ぐ匂いだ。とても気になる匂いだ。嫌いじゃ無いな、気になる好きな匂いだ…
それにあのアリスって娘も、気になるな何故だ?
水を持ってきてくれた時の匂いからすると、あの娘の匂いだよな?)
「ねぇ、アリスちゃんは、なんの獣人なの?
銀髪もひっつめて結んで眼鏡かけて、それ取ったらきっとすっごく可愛くなると思うよ!俺そ~ゆうの得意なんだよ!」
「私は人間です。見た目は気にしないので、大丈夫です。ありがとうございます」
「もったいないなぁあ~ご飯きた!うっまそ~サミュエル。食べようよ、いっただきまぁ~す」
(本当にこいつは騒がしい奴だな。アリスか…人間なのか?
何か、違うような気がするんだが。まあ、おいおい調べてみよう。今は温かいうちにご飯にしようか)
「ねえ。親父さんこれ何?めっちゃ旨いんだけど、初めて食べるよ」
2人共、いつも以上に食が進むのだ。旨くてもう一口もう一口と、どんどん食べていく、止まらない。
「最近この辺りの漁業が盛んでな、えらい珍しい魚が、かかるんだとよ。心して食えよ」
「はぁーい!食べてまぁーす」
「美味いです。親父さん」
(今夜は海岸に、人魚だしな。
どうせ私はつがいも居ないし、年齢的にもつがいとは、出会える確率は低いしな。とはいえ、そこら辺の女誰でも良いわけでも無く、なかなかこれっていう女が居ないんだよな。早々と見つけたディランが、本気で羨ましいよ。人魚か…まあ今夜だな)