春夏秋冬
「!」
あたしは目を覚ました。
部屋は真っ暗で、そして静寂に満ちていた。
いったい、今は何時くらいなんだろう。
窓の外に朝の光がないという事は、慌てて起きる必要はなさそうだ。
枕元の携帯を開くとディスプレイが青白く部屋を照らす。午前3時8分。
携帯を閉じて、呼吸を整えて、あたしはもう一度瞳を閉じる。
その時ふと、枕の冷たさに気づく。指を目尻に這わすと、そこには涙の痕跡があった。
泣きながら目が覚めるなんて、いつ以来だろう。思い返しても、あの夢のに悲しみの要素なんて見いだせないのに。
ユウト。
ユウトは今、暖かなベッドで優しい眠りに包まれているのかな。