春夏秋冬
ユウトの青い部屋は、夏にはいいけど、寒い日にはいっそう寒く感じる。
コートを脱ぐと、ちょっと待っててと言ってユウトは飲み物を取りに行った。あたしはユウトの用意してくれたハンガーにコートをかけて、ラグの上に座った。
エアコンの暖かい風が部屋になじんだ頃、ユウトは戻ってきた。
手にはマグカップが2つ。
一つにはコーヒー。もう一つにはココア。
コーヒーがあまり飲めないあたしのために、ユウトはわざわざココアをいれてくれる。お湯で溶かすのではなく、牛乳から丁寧に。
そういう何気ない優しさを見る度に、あたしはユウトから大切に想われているのだと感じる。そして、そんなユウトを愛しく想う。
受け取ったココアをひとくち、ふたくち飲んでいくと少しずつ寒さで強張った体がほぐれる。
「くぁ…」
暖かさに慣れると、テスト勉強で寝不足だったのかユウトはあくびを一つした。ユウトに釣られるように、あたしも小さなあくびをした。
「つられた」
あたしが言うとユウトは笑った。
「ユウト、眠いなら寝て。あたし帰るよ?」
あたしが言うとユウトは長い腕を伸ばしてあたしの手を握った。
「帰らないで。最近、ちょっと寝れてないだけ」