春夏秋冬
家まで送ると言ってくれたユウトに、あたしは首を振った。
ユウトの家からあたしの家まではバスに乗ればすぐだったし、日が暮れるには少し時間があった。
バスから降りて、雪のすっかり溶けてしまった家までの道のりを歩く。
ユウトのあの傷は、一体なんだろう。
体を重ねて実感した事がある。
きっとユウトには、持っているものがたくさんある。
それは、過去だったり、自分の思いだったり、人に隠したいもので、たくさんの人がうまく忘れたり、過去に取り残してきたもの。
あたしにははかり知れないほどたくさんのもの。
何だか眩しくて顔を上げると、オレンジ色の雲が一面に広がっていた。
ユウトの持っているもの。
いつか、あたしも知ることが出来るだろうか。