春夏秋冬
「サナ、海に行こうか」
校門を出たところで、ユウトは言った。
「こんなに寒いのに?」
ユウトは笑った。そして、自分の巻いていた、太めの毛糸で編まれたざっくりとしたマフラーを、すでにマフラーをしていたあたしに巻き付けた。
「おもーい」
あたしが笑うと、ユウトはマフラーを取り、自分にあたしの白いマフラーを巻いて、もう一度あたしに自分のマフラーを巻いた。
「こんなぺらぺらのマフラーしてるから寒いんだよ」
ユウトは自分の首に巻いたマフラーをつまんで言った。
「ユウトのマフラー、あったかいね」
あたしが言うとユウトは「そうだろう?」と言わんばかりに頷いた。
風が吹いて首を竦めると、毛糸の感触と共にユウトの匂いがした。