春夏秋冬
それはまるで。side真実
涙
サナの意思を、初めて見た。
溶けかけた雪でドロドロになったアスファルトを、私は足早に歩いた。
―――話したいことがあるの。
電話の向こうのサナは、酷く落ち着いていた。
私はそんなサナに空恐ろしさを感じながら家を出る準備をした。
9時前のファーストフードには、まだちらほらと制服姿の高校生が残っている。
そんな中、二人掛けの席でサナは俯いていた。
「サナ」
私が声をかけると、サナは顔をあげ、力無くにこりと笑った。
「ごめんね、急に呼び出して」
「ううん、それはいいんだけど…何かあった?」
サナは、少し表情を固くする。そして、小さく息を吸った。
「ユウトと、別れた」
ああ、やっぱり。
私は心のどこかで思った。
「別れた、っていう言い方が正しいのかはわからないけど…」
「サナ?」
「…」
サナは黙り込んだ。
どちらかといえば、いつも別れただのなんだのと言うのは私の方だから、こういう時にかける言葉が見つからない。