春夏秋冬
サナは、顔を上げて私を見た。
真っ直ぐな瞳からは、ぽろぽろと涙が零れていた。
隣の席にいた女子高生がチラチラとこっちをうかがっているのがわかる。
見世物じゃないのよ、と少しイラッとしたけど、サナの涙が、それ以上そんなものを気にさせなかった。
「あたしね、ユウトが好き」
「もう一緒にいるってことは出来ないかもしれないけど、このままじゃ納得いかないの」
「ユウトの話をちゃんと聞きたい」
初めて見たサナの意志だった。
「ごめんね、真実にこんな話して。そう思うなら最初から直接ユウトに言うべきなんだけど」
「決意表明しとかないと流されちゃいそうだから」
一つ一つ、時間をかけてサナは言った。
涙はいつしか止まり、頬には幾筋かの跡が残った。
強い、強い、意志だった。