春夏秋冬
それは、矢島悠斗の苦悩。
人間は結局、二つの種類に分かれるのだ。
陰と陽、白と黒。
その言葉の本当の意味など私は知らない。
ただ、矢島悠斗がサナを嫌っているからというわけでなく、愛おしむ気持ちがあるから出て来た言葉だというのは何となくわかった。
矢島悠斗のいる場所に、サナが来てくれるかどうか。
サナは嫌わないだろうか。矢島悠斗を。あたしを。
きっとそういう不安から出た矢島悠斗の言葉。
サナとの付き合いはたしかに短いけれど、男女ではない、私とサナの関係で言える事もある。
私、あの時もたしかそう答えた。
鈍く輝く星のある夜空に向かって、唇は紡ぐ。
「大丈夫。サナは強いよ」