春夏秋冬
寿人がいなくなった我が家は、まるで太陽が無くなってしまったかのように冷たい空間になってしまった。
家族仲が悪くなったわけではなかったけれど、やはり寿人の存在は大きかった。
なぜ、俺じゃなかったんだろう。
夕闇が迫って、夜が来るたびに思った。
耐え切れないときは、ぶらりと外に出た。
薄暗くなった夜道で、たくさんの制服姿とすれ違う。
わいわいと、息を弾ませながら歩いている。
「来年は受験だから、今のうちなんだ」
その一言が耳に残って思わず振り返った。
集団は相変わらずわいわいとしながら離れていく。
――――そうだ、寿人も。
俺は、家路を辿り始めた。