春夏秋冬



最初は訝しげな顔を見せた両親に俺の想いを告げると、父さんが一言「わかった」とだけ言った。


そして俺は、高校受験を決めた。

ろくに学校に行かなかった俺にとっては果てしなく長い道に感じたけれど、枯渇していた脳は知識が増えていくことに喜びを覚えた。

そしてなんとか、受験をクリアした。

父さんにも母さんにも、そしてろくに行かなかった中学の先生達にも迷惑をかけて、受かった高校は、家から電車で一駅離れたところにあった。

長い冬が終わり、春の生暖かい風がやっと感じられる頃になって、17歳の俺は高校の制服に袖を通した。
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