春夏秋冬



桜吹雪の舞う校門を抜け、クラス分けの貼紙を確認し、入学式のある体育館に向かった。

人影は、まばらだ。

まだ時間に余裕はあるらしい。

賑わい始めたそこを背にして、俺は人気の少なそうな場所を探した。


校舎の端の非常階段を見つけ、三階の踊り場までのぼると、ごちゃごちゃとした町並みの向こうに海が見えた。

春の空気というのはどうしてこんなにもやもやとしていて、暖かいんだろう。

胸に付けた校章を外し、太陽に透かしてみる。

本来ならば俺じゃなく、寿人が付ける色。

キラキラと太陽光を反射する青を手摺りの上に乗せて、俺は身を屈める。


「これで、最後にするよ」


いつの間にか覚えたタバコに火を付ける。

これで、最後だ。

俺は、俺の人生を生きるよ、寿人。
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