春夏秋冬


残り僅かになったタバコを、めいいっぱい吸い込んだその時。


バサッ!!


鋭い羽音が響いた。

黒い影が、漆黒の羽をひらりと残して遠ざかっていく。

慌てて立ち上がると、手摺りの上に置いていた校章は見当たらない。

影は急降下しながら薄いピンクの花の群れ突っ込んでいく。

僅かにきらりとなにかが光った気がする。

俺はタバコの火を揉み消し、携帯灰皿にしまうと階段を駆け降りて満開の桜目指して走った。
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