春夏秋冬
俺はまとまらない言葉達をただ思い浮かぶままに吐いていった。
長い告白が終わる頃には、東の空に欠けた月が昇っていた。
サナは、しばらく俯いていた。
長い髪が顔を隠す。
そして、ふいに顔を上げると強い強い意思を秘めた瞳でじっと俺を見つめた。
「みんな怖いのよ、きっと。もちろんあたしも」
ああ、そうだ。そして寿人も。
隣接した道路を走る一台の車が一瞬、俺達にライトを当てた。
世界には、俺とサナしかいないのかもしれないと錯覚しそうになった。