春夏秋冬
入学式の朝
「学校まで一人で大丈夫?」
玄関で靴を履いていると、ママが後ろから声をかけた。
「大丈夫だよ、明日からは一人で行かなくちゃいけないんだし」
そう、あたしは今日から高校生になる。
「それはそうだけど・・・」
ママはなんだか不安そうな顔だ。
「式の時間に間に合ってくれればいいから、ようちゃんのバスが来るまでママはゆっくりオシャレしてきて!」
ようちゃんというのは、あたしの弟。
幼稚園のお迎えバスの都合で、ママは入学式開始時間ぎりぎりでしか来れなくなってしまったのだ。
「わかったわ。車には気をつけてね」
ママは小さく笑った。
「はーい。ね、ママ」
「なぁに?」
「制服、おかしくない?」
靴を履いたあたしは、スカートを翻してくるりとまわった。
「よく似合ってるわよ」
ママはにっこり笑って、リボンを整えてくれた。
「ならよかった!いってきます」
「いってらっしゃい」
ママの声に見送られて家を出た。