春夏秋冬
海とバイク
たまに、海を見たくなる時がある。
それはもうずっと前、ママの実家に住んでいたせいかも知れない。
ママの実家、つまりおばあちゃんの家は、四六時中波の音が聞こえる、そんな場所にあった。
綺麗な砂浜ではなく、ごつごつした岩場の続く海岸線。
テストで悪い点をとってママに怒られた時、パパが仕事で遊べなくなった時、友達とケンカした時。
あたしはよく岩の影に隠れて、足元に波が押し寄せるのを見ていた。
誰かにぶつけることのできない、どうしようもない思いを抱えて。
押し寄せては引いていく波が、あたしの思いを少しずつどこかに連れ去っていく気がしていたのだ。