春夏秋冬
お気に入りの場所
体中に響いていたエンジン音が止まった。
「着いたよ」
あたしは矢島悠斗に回していた腕をはずし、バイクから下りた。
「ここ?」
ヘルメットを外しながら矢島悠斗に尋ねる。
「そう」
矢島悠斗が伸ばした手にヘルメットを渡す。
「ありがとう」
「どういたしまして」
矢島悠斗がヘルメットをシートの中にしまった。
横には、岩のような斜面に押し寄せた木々。
反対側には少し高めの防波堤。
細い、それでも一応整備された道の、突き当たりだ。