春夏秋冬
矢島悠斗は歩き出す。

あたしは矢島悠斗の後ろについていく。

道の突き当たり、防波堤の端に、数段の階段がある。

矢島悠斗はなんのためらいもなくその階段にのぼり、防波堤と岩の透き間に入った。

あたしも追いかけて階段をのぼれば、岩と防波堤の間には、きちんとした下りの階段があった。


「大丈夫?」


矢島悠斗が、数段先からあたしを見上げた。


「大丈夫」


わりと急な階段に恐る恐る足をのばす。

矢島悠斗に追い付いたところで、すっと手が差し出された。
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