春夏秋冬


「ここならわりと綺麗だと思うけど、座る?」

「うん」


あたしが答えると、矢島悠斗の掌が自然に離れた。

岩に腰かける、矢島悠斗も隣に座った。


「連れてきた後で言うのもなんだけど、よかった?」

「うん。こんなとこ、好き」


あたしは波を見つめながら言った。


「そうなんだ?女の子は砂浜とかの方が好きだと思ってた」

「どうして?」

あたしは矢島悠斗の横顔を見た。


「何となく。少なくともここよりは砂浜の方がロマンチックでしょ」
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