春夏秋冬
二つの人間
人は時に、ある事柄についてそうであるか否かの二つに分ける事ができる。
たとえば、人参が食べられる人、食べられない人。
たとえば、成功する人、しない人。
そんな感じ。
そして、あたしの周りには声をかけやすい人間とそうでない人間がいる。
サナや冬吾は前者であり、あたしや矢島悠斗は後者だろう。
だからといって、けして同じ境地にいるわけではない。
サナが声をかけられるのは、たいてい知らない人。道を尋ねる人とか、バス停でたまたま出会ったおじいちゃんとか。
どこと無くのんびりした雰囲気と一見優等生風の見た目だろう。
冬吾が声をかけられるのは、同世代の人間。
いつも周りに人がいて賑やかだから、そしてその中心にいる冬吾は太陽のように明るいから、人は自分も簡単に照らされることを願っている。