春夏秋冬




あたしが声をかけにくいのは、この見た目だろう。

高めの身長に、茶色の髪。

そして、母いわく父親譲りの派手な顔立ち。

あの女が言う事なんてほとんど信用出来ないけれど、おじいちゃんも言っていたからあたしは父親似なんだろう。

父親は、ハーフだったという。

どことどこのハーフなのかもわからない、つまりあたしの血の半分は知らない国のものが流れている。

あたしが、身重の娘を置いてとっとと自分の国に帰ってしまった男の子どもであっても、おじいちゃんもおばあちゃんはあたしをかわいがってくれた。

散々いろんな男に手を出しては騒動を起こして、あげくの果てにお腹に子どもがいながら妻子持ちの男と関係を持ち、その男の奥さんが家に乗り込んできて大騒動になった末に子どもの父親に逃げられたとなれば、おじいちゃん達も自分たちの娘を可哀相にも思わなかったんだろう。

だから、生まれたあたしを可哀相な子だと思っていたのかも知れない。

おじいちゃん達の目に映るあわれみを見つめながらあたしは育った。
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