春夏秋冬
「入部希望?」
矢島悠斗は言った。
「んー、まあそんな感じ。矢島くんも?」
「うん。俺はもう入部してるんだけどね」
「そうなんだ。絵、描くの?」
「うーん。まあ少しだけ絵画教室に通ってて。高野さんも、絵描くの?」
「ううん、あたしは先輩に頼まれて人数増やすために来たの。絵は全然ダメ。あ、そうだ。田阪先輩って知らない?今日いるって言ったから来たんだけど」
「ああ、俺も今日はまだ見てないよ。ずいぶん自由な部活らしいから、ここ」
そんな話をしていたら、先輩がちょうどやってきた。
「あ!真実、来てくれたのね」
先輩の一言で、矢島悠斗との会話は途切れた。
こうして、あたしは名ばかりの美術部員、矢島悠斗と同じ部活に入ることになった。