春夏秋冬
矢島悠斗とは入部の日以来、話していない。
簡単な挨拶程度は交わすものの、それ以上のことはまったくない。
「先輩、矢島悠斗みたいなのがタイプなんですか?」
「タイプっていうかー、」
顔は悪くないじゃない?
身長も高いしー、
たしかに無口だけど、愛想は悪くないし。
あたし、あんなクールな感じのやつと付き合ったことないからさー。
先輩は、巻いた髪をさらに指でくるくるしながら答えた。
その姿はあの子によく似ている。