春夏秋冬


美術室を出たあたしは扉を後ろ手に閉めてため息をついた。

いつのまに、あたしはこんなに気を張り詰めていたんだろう。


――――海の色って何色かな?


矢島悠斗の声が頭にこだまする。


もう、サナが教室に戻っているかもしれない。


あたしは相変わらず静かな廊下に足を踏み出す。


――――サナなら。


――――サナなら、矢島悠斗の問いになんと答えただろう。


あたしは、柔らかな笑顔を思いながら歩いた。
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