春夏秋冬
昼休み、先生のところから戻るとあたしの席に冬吾がいた。
前の席のサナとなにか話している。
「余計な事言ってるんじゃないでしょうね?」
あたしが後ろから声をかけるとあからさまに冬吾は慌てた。
そして目的だった英和辞典を持って去って行く。
「…冬吾になにか聞いた?」
「ううん、なにも」
サナは答えた。
そして、あたしと冬吾の関係を飼い主と犬のようだと言って笑った。
サナが笑ってくれていることがうれしかった。
それと同時に、矢島悠斗が今日、学校に来ていないことを少し残念に思う。