春夏秋冬
さく、さく、さく。
先にばっさりと長さを落とした俺は、おかっぱ状態の真実の髪に細かくハサミを入れる。
真実は俺と同じ髪型にしたいといったが、俺はその要望を無視して軽目のショートにしあげようとしていた。
「ねえ、冬吾」
真実が口を開く。
「なんだよ」
「海の色って何色なのかなあ」
「…透明」
「あはは!なるほど」
真実がそんな答えを求めていないのはわかっていた。
俺、頭はワリーけど空気が読めねえワケじゃねえし。
でも結局、なんて答えたらいいのかわからなくて、正直に答える。