春夏秋冬
真美の髪を切ったあの夜から1ヶ月がたとうとした頃。

夜のランニング中、雨が降り出した。

Tシャツに夏の雨が染み込んで行く。

暑くなった体は、表面だけが冷やされて行くようだ。

ふと、目の前に白い人影が現れた。


「…真実?」


人影は振り向いた。


「冬吾」


少し伸びた前髪から、雨が伝う。


「お前、傘は?」

「忘れた」

「何してたんだよ、こんな時間まで」


真実は制服姿のままだった。

白っぽく見えたのは制服だったのだ。
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