春夏秋冬
男の子は、その場でエンブレムをブレザーに着けた。
そしてもう一度、ありがとうというと、踵をかえそうとした。
「待って!」
あたしは言った。
それと同時に無意識で、右手が男の子の髪にのびた。
「?」
男の子のキョトン、とした顔が目の前にある。
あたしは慌てて離れて、手の平の花びらを見せた。
「髪に、花びらがついてたから」
男の子は納得したように「ああ」とだけ言い、もう一度ぺこりと頭を下げて去って行った。
それが、あたしとユウトの出会いだった。