春夏秋冬

「なあ、真実」

「なによ」

「お前にとって俺はなに?」

「…冬吾は、冬吾よ」

幼なじみだと言い切らない真実に、俺は少しだけほくそ笑む。


「俺さあ、たぶんこれからいろんな女と付き合うんだと思うんだよ」

「そうね」


真実は表情を崩さない。

「もし、」

「もし?」

「30歳になるまでにお互いが独身だったら、結婚しねえか?」


真実の表情が変わった。

なに言ってるの?

そんな声が聞こえてきそうだ。


「またな」


真実の家の前でぽかんとした顔の真実を残し、俺は雨の中を走りだした。
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