春夏秋冬
「もしもし」
『もしもし、西沢さん?』
「うん。どうしたの?矢島くん」
『あのさ、今から少し時間ある?』
あたしは時計を確認する。
「30分ぐらいなら。5時になったら弟を保育所まで迎えに行かなきゃいけなくて」
『そうなんだ。じゃあ海までは行けないね』
「ごめんね」
『いいんだ、あのさ。少し会いたいんだ。どこでもいいから会える場所ないかな』
「あ、家のね、近くに公園があるの。さくら公園」
『さくら公園?』
「うん、少し広い公園なんだけど、わかる?」
『あ…俺今そこにいる』
「え!?じゃあ、今から行くから少し待ってて!」
あたしは慌てて電話を切って家を出た。