春夏秋冬
5分ほど走って、公園の前に一台のバイクを見つけた。
「矢島くん!」
公園の中で矢島悠斗は所在なさ気に、水呑場の前に座りこんでいた。
矢島悠斗は少しだけ日焼けした顔を上げた。
「ごめん、急に」
矢島悠斗は立ち上がる。
「いや、いいんだけど。どうしてここにいたの?」
矢島悠斗は困ったような顔して答えた。
「会いたくなって」
「え?」
「なんかすごく会いたくなって。でも約束とかしてなかったし。家、この辺だって言ってたから、もしかして偶然会えないかな、とか思って」
一気にそこまで言うと、矢島悠斗は一息ついた。そして真っ直ぐにあたしの目を見つめた。