春夏秋冬
ユウトはマンションの半地下の駐車場の隅にバイクをとめた。
薄暗い駐車場の中を、あたしはユウトの後を追って歩き出す。一旦外へ出てから、妙に明るいマンションの入口へ入る。太陽とは違うあたたかみのない白い光。昼間だというのに煌々とついた蛍光灯。
「おいで」
ユウトはいつの間にかオートロックを解除し、あたしを呼んだ。あたしはユウトの傍に寄った。
エレベーターで5のボタンをユウトは押す。あたしはぼんやりとユウトの仕草を見つめていた。
エレベーターから降りて、1番奥のドアの前でユウトは鍵を取り出し、ドアを開けた。
「どうぞ」
「お邪魔します・・・」
ユウトに促されて、あたしは玄関に足を踏み入れる。
「そんなに畏まらないで。父さんは仕事だし、母さんも出かけてるから」
ユウトはにゅっと腕を延ばすと、玄関の鍵をかけた。そして、あたしが靴を脱いだ事を確認すると、「こっちだよ」と言ってすたすたと歩き出した。
バルコニーからさんさんと太陽光の降り注ぐリビングには大きなテレビとソファー。その向こうにはキッチン。そしてリビングに面して扉が二つ確認出来る。それとは別に、和室に入るためのふすまは開け広げられていた。