春夏秋冬
海と空
「座らないの?」
ユウトの言葉に、あたしははっと我に返った。あたしは軽く頷いて、差し出された冷たい緑茶の入ったグラスの前に座った。ユウトは小さなテレビの電源をいれて、自分のグラスのコーラをあおった。
「ねえ、壁に貼ってるのは・・・ポストカード?」
ユウトがグラスから口を離して、あたしを見て、それからぐるりと部屋を見渡した。
「ううん、絵だよ」
ユウトは言った。
「絵?」
「そう。海の絵と空の絵」
「海と空?」
「うん」
ユウトは立ち上がって、テレビの近くに貼ってあった紙を2枚とってあたしに渡した。
手にした紙を見ると、1枚は薄いブルーに、白い雲か一つぽっかりと浮かんでいる。もう1枚は深い青と緑が混ざったような色が複雑にグラデーションしながら、下に向かって暗くなっている。
ユウトの言うとおり、これは海と空の絵であるに違いない。