春夏秋冬
「ユウトが描いたの?これ」
「うん、まあ」
「綺麗ね」
「どっちが好き?」
「うーん、選べないよ」
ユウトは笑った。
「いる?その絵」
「え?」
「あげるよ」
「いいの?」
「うん」
「ありがとう」
あたしは二枚の絵をそっと手帳に挟んでバックにしまった。顔を上げると、ユウトはじっとあたしを見ていた。あまりに真っすぐこっちを見ているので、少し恥ずかしくなって、あたしはお茶をごくりと飲んだ。それでもユウトはあたしをじっと見ている。あたしは堪らず口を開く。
「どうかした?」
「え?」
ユウトが少し驚いた表情を見せる。
「ものすごく、見られてた」
「あ、ごめん。俺、無意識…」
ユウトはそこまで言うと、突然、ホントにボンッと音がしそうなぐらい急に顔を真っ赤にした。
慌てて大きな手で口元を押さえているけど、耳まで真っ赤だ。
「え!?なんで?あたし何かした?」
あたしが言うと、ユウトは首を横に振ってコーラを一気に飲んだ。