守るべきは・・・誰
10】
☆☆久しぶりの朝
土曜日の朝
久しぶりに結月の顔を見た。
「コーヒーのむ?」と、訊ねると
「うん。」と、言ったから
自分の分と結月の分を淹れてから
結月に渡すと
「ありがとう。」と、言ってくれた。
一言、二言の会話だが
凄く嬉しかった。
結婚してから会話がないとか
一緒に寝ないとか
なかったから。
一緒にいる空間に
ホッとしていると
携帯がなった。
見ると
=心春=と。
電話にでると
「電話大丈夫?
ごめんね。電話して。
あれから会えてないから」
と、話していると
うっ・・・・
と、苦しそうな声が聞こえて
電話は切れた。
俺が、心春と話している間に、
結月が自分の仕事部屋に
入って行こうとしていた
せっかく、結月とゆっくり
できていたのに
と、思うが・・・・・・
苦しそうな心春の声が耳に残り
結月に心春の体調が悪いみたいなんだ
行ってもよいか
と、訊ねたが
結月は、なにも言わず
仕事部屋に入り
鍵を閉めた。
俺は、説得しようと思ったが、
時間もないと思い
「ごめん。」と言いながら
頭を下げてマンションを出た。
あんなに大好きで
結婚した結月に
あんな悲しい顔をさせて
夫婦仲を壊してまで
行く必要があるのだろうか?
結月は、あの日から
笑顔を見せてくれなくなった。
だが、病院につくと
心春は、いっそう
沢山の管が体についていた。
「心春!!心春!!」
何度も名前を呼ぶと
少しだけ目を開いて
俺に微笑んだ。
心春の両親に
病院からも連絡が行っているが
来る意思が、まったくないようだ。
俺は、この日
心春には、悪いが
結月を失いたくないし
結月にこれ以上
辛い顔も、辛い思いも
してほしくないと思い
明日からは、来れない
と、言うつもりでいたが
心春は、悪化していき
予断が許せない状態になり
俺は、付きっきりになった。
夜が明けても、心春の症状は
落ち着かず
俺は、帰れない状態だった。
昼になっても
夜になっても
状態は、変わらず
月曜日の明け方になり
やっと落ち着いたので
「一度仕事に行き、また夕方に来ます。」
と、看護師さんに伝えて
帰宅した。
体も心も疲れはてていた。
だが、心春が
命をとりとめて良かった
本当に、良かったと思っていた。