守るべきは・・・誰
☆☆父の言葉
「陸?陸なの?
あなた、連絡もしないで。
ゆずちゃんからは、
連絡もらっていたけど
あら?ゆずちゃんからも
近頃・・・連絡ないわ・・
どうしたのかしら?
こんなこと、なかったのに。」
一人でぶつぶつ言いながら
結月を心配している母。
結月は、俺の実家にも
電話をしてくれていたんだ。
忙しいはずなのに。
結月の優しさに
胸が詰まる
「りくっ、陸ってば?」
と、母親によばれ
「母さん。
俺っ・・・おれっ・・・、
とんでも・・・ない・・・事を・・・
して・・・しまった」
と、言うと
母は驚き
「どうしたの?」
と、訊ねた。
俺は、母親に全てを話した。
母親は、言葉を失くし
電話越しに
嗚咽が聞こえた。
母親は泣きながら
結月は大丈夫なのかと
心配していた。
俺は結月が出て行ってから
会えないまま離婚になった事を話し
全て結月の友達の彼氏である
三樹さんという弁護士さんが間に入り
話が進んで行った事
結月は俺とは会いたくないと
言っていたらしい事を話した。
母は、結月を娘ように
可愛がっていたから
ショックだったようで
今後の話しは、父親が帰って来てから
するように言われた。
夜になり父親から連絡があった。
「結婚して妻がいるのに
どうしてそんな気持ちになったのか
理解できない。」
と、言われた。
「だが、そうなってしまったことは、
もう変えれない。
銀行側の言い分もわかる
いっそ、その人と籍をいれて
ずっと面倒を見てはどうか」
と、言われた。
俺は、
「そんなつもりはないんだ。」
と、言うと
「それは、おかしいだろ?
お前がやった事は、
そういうことだよ。
妻より元の付き合いのあった
女性を選んで、付いていて
あげたいと言ったのだから。
その人が一人で可哀想だったの
だろう?
なら、最後まで責任を持つ。
そんな気持ちで望まないと
結月ちゃんにもその女性にも失礼だよ。
もしかして、カッコつけでやったのか?
中途半端では、銀行にも支障がでる。
彼女と籍をいれて
彼女を守りながら介護休暇を取得するか
彼女の一切から手を引いて
その事をきちんと
支店長や課長に報告するか
考えて決めなさい。
私らは、その決定に従う。
だが、私らの意見もその時に
話させてもらう。」
と、言われた。
俺は、父親が話す間
言葉を出すことができなかった。
どうして、簡単に決めたんだろう
確かに学生時代は心春を愛し
心春との結婚を考えていた。
だが、結月と出会って
結月と過ごす日々に
癒しを感じ
結月を愛し、愛される一生を
送りたいと思って結婚をしたのに。
自分の浅はかさに
涙が止まる事はなかった。