守るべきは・・・誰

☆☆入籍


悩んでいる間も
心春の入院している病院から
変化があると連絡がくる。

待っては、くれない。
悩ませては、くれない。

病院に行き
何度も話そうとするが
出来ずにいる日々が続き・・・・

課長からも渋い顔をされ
同僚からは迷惑がられ
決断を強いられた。

俺は、心春に
「籍をいれよう。
そしたら、家族として
俺も、もっと色々できる。
銀行からも、そう進められたんだ。」
と、言うと
心春は、びっくりして
「えっ、何を言ってるの?
陸は、結婚してるじゃない。」
「あー、うん。離婚したんだ。」
「うそっ、私の、私の、せいだよね?
どうしょう、そんなつもりじゃなかった
そんなつもりじゃなかったのに
ごめん、なさい。ごめんなさい。」
と、言っていると
心春につけている器械がなり始め
看護師さんたちが、バタバタと
動きだしてしまい
一度、外にでた。

俺は、椅子に座りながら
持ってきていた婚姻届を見ていた。
自分の所は、全て記載している。

心春の状態が、少し落ち着いた時に
心春の指を使い婚姻届を記入した。
それを持ち、実家に帰省した。

夜に両親が揃ってから
俺は、婚姻届を出して
俺と小春の証人欄を記載して
欲しいとお願いした。
俺にも心春にも
書いてくれる人がいなかったから。

両親は、わかっていたようだが
落胆した顔をして
母親は涙を流した。

沈黙の中
父から
「陸、証人欄は、私と母さんで
記入しよう。
だが、私達は彼女と会うことも
彼女に何かあっても
一切関知しない事にしてほしい。
これは、母さんと話して決めた事だ。
お前は、自分で選んで
自分で決めた事だ
自分の思うようにやりなさい。」

俺は、書いて貰えた事に感謝して
実家を後にした。

わかっていた、こうなることは。
父も母も結月を自分の娘のように
可愛がっていたから。
そんな結月を傷つけた俺に
尽くしてくれた結月を裏切った俺に
両親は、気持ちの行き場もなかったはずだ。


陸は、自分が起こした行動が
自分の家族や両親、会社を
巻き込んだ大きな事に
なるとは思っていなかった。

大きな悲しみに包まれていた。
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