守るべきは・・・誰

☆☆夫の話


彼が話した内容は・・・・

大学時代に
付き合っていた彼女が
重度の心臓病で
完治できない状態にあるらしく

残りの日々を
陸と共に居たい・・・
陸に側にいて欲しい・・・
と、連絡があった・・・・と。

陸は、彼女と別れてから
携帯を変えたので
彼女の登録はなかったが

彼女は、陸の番号を
そのまま残していた。

知らない番号からの着信は
日頃は無視をしているが
なぜだか、この時は
出たらしい。

その着信が彼女だった。

だが、
彼女の話す内容が信じられなくて
彼女が入院していると言う病院へ
銀行を早退して行ってみた。

病室には、
痩せて、小さくなった
別人のような彼女がいた、と。

そんな彼女を見て
たまらない気持ちになった。
と、私の知らない女性の為に
涙を流す夫に・・・・・

私は、唖然としてしまい
陸に繋がれていた手を
そっと、離した。

そんな私の行動に
驚いたのか
陸は、はっと顔を上げて
私をみる。

顔色もなくなり
無表情となっている
私に、夫は・・・・・・・
頭を下げながら
「彼女についていて
あげたいんだ。
頼む。頼むよ、結月(ゆず)」

頼むと、何度も繰り返す陸を
その場に置いて
私は、自分の小さな仕事場に
逃げ込んだ。

夫は、陸は、何を言ってるの?
妻である私でなくて
元カノに付いていてあげたい、と。

病気なのは・・わかる
可哀想だとも・・・思う
だけど、頭が、心が
理解できずにいた。

私は、薄情なんだろうか
と、自分自身が嫌になったり

彼は、私の仕事部屋の前で
何かを言っているが
私の耳には
まったく・・・・・
届いて・・いなかった。

彼は、銀行をどうするのだろう?
毎日、病院に通い、
病院へと泊まるのだろうか?

今後の私達の事を
とうするつもりでいるのだろうか?
どうしたいと思っているのだろうか?
考えていたら涙が溢れた。

私は、ずっと陸と幸せに
過ごせると思っていた。

陸の事を愛していたし
愛されているとも
思っていた・・・・・。。。
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