守るべきは・・・誰

☆☆陸···side


親戚の叔母がなくなり
実家に帰省をした。

新転地では、
戸惑う事も多かったが
地元の人の優しいや温かさに
救われながら生活を送っていた。

仕事は、資料整理や雑用の
日々だが、何も考えずに
打ち込める事が救いだ。

身なりもきちんとしていた
行員から
資料整理係で
服装にも拘る必要もなく
気持ちが楽だった。

食欲もあまりなく
みるみる内に
体重は減少していたから
母は、俺を見て
呆れながら涙を流し
沢山食べなさいと
いろんな料理をだしてくれた。

葬儀に戻ったのに・・・・と
思いながら嬉しかった。

そんな両親から
「結月ちゃんから手紙が届いたの。」
と、言われて
見せてくれた。

俺を責めるわけでもなく
心春を責めるわけでもなく
自分が逃げ出したことを
謝罪する結月の優しさに
俺は、涙が止まらなかった。

葬儀もおわり、戻る前に
母親から
「もっと身なりをきちんとしなさい。」
と、言われて
ショッピングモールに
やって来た。

欲しい物もないが
ブラブラ見ていると
結月?
ゆずに似た人がいて
思わず声をかけてしまった。

結月が立ち止まると
前を歩いていた男性が
結月を隠すように立ち
俺を見た。

俺は、謝罪と
心春の手紙の事を伝えた。

結月からは、
「話をすることないし
彼女の手紙も見ることはない。」
と、言われた。

それでも、なんとか
と、思って食い下がる俺に
結月と一緒にいた男性
結月の会社の支店長だと言われ
名刺も頂いた。

身長も高く
顔も綺麗で
男の俺から見ても良い男で
頼りがいのある男性

その男性から
今までの経緯を言われ
「あなたは、守るべき人を間違えた。」
と、言われた。

そう····だ·····
あんなに愛し合って
愛を誓い・・結婚した結月を
俺の勝手な考えで
傷つけて苦しめた。

俺は、俺が一番大切にし
大事にし守らないと
行けない人を間違えて
しまったのだ。

結月と·····もう一度と
簡単に考えていた
自分の愚かさに気づかされた。

心春と入籍の形を
とったが
会話をすることも
ほとんどなかった。

心春の体調が悪化したからだ。
まだ、話せるときだったら
違っていたのだろうか
いや、話せる時だったら
嫌な空気が漂っていただろう。

息を引き取る一瞬
目を開いて
俺を見て
驚いた顔をした
心春

俺の容姿が悲惨だったからか
俺がいると思わなかったのか

今では、わからないが
心春は、目を閉じると同時に
涙を流した。

俺は、心春に
「心春、疲れたな。
ゆっくり休め」
と、言い、心春の涙を拭いた。

後は、本当に
あっ、というまに
いろんな事が終わっていた。

気づくと
納骨も終わり
ご住職に永代供養をお願いし
支店長と課長にお礼を言い
新転地へと来ていた。

銀行の独身寮に入り
銀行と寮の往復のみ。

この年で本店からの移動で
色々噂されているようで
回りの人も遠巻きに
接してくる。

それで良かった。
それが楽だった。

本店から内容を聞いている人も
いたみたいだが
俺が話さないから
相手も話しかけては
こなかった。
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