守るべきは・・・誰
☆☆健康になって
心春の保険や貯蓄は
心春の葬儀や永代供養に
全てあて
俺は、一切手をつけなかった。
夫婦と言えども
名前だけだから。
心春は、呆れていたのか
それとも、
少しは喜んでくれていたのかさえ
わからないが·····
心春の手紙を見つけて・・・・
俺宛と
病院の師長さん宛
陸の奥様へ
と、三通があった。
奥様は、結月宛だと思った。
師長さんにお渡しをして。
俺は、新しい土地についてから
手紙を読んだ。
自分の我が儘、身勝手から
俺を大変な事に巻き込んで
しまった事への謝罪ばかりが
綴られていた。
所々、滲んで読めない箇所もあった
心春の涙だとわかる。
〘 私は、本当にバカだ。
私と一緒で
陸も独身だと勝手に思い込んで、
どうして、結婚していると
思わなかったのだろう。
私の願望から来ていたのかな?〙
と、書いてあった。
そして、結月にこの手紙を
渡して出来るなら
二人で幸せになって欲しい
と、書かれていた。
〘 私は、両親からも
誰からも愛される事がなかった。
ただ一人、陸にだけは
学生時代、少しの間愛してもらえたと
思っています。
バカな女の世迷い言に
巻き込んでごめんなさい。
奥様にも、そうお伝えください。〙
と、最後には書いてあった。
心春、結月には
この手紙を読んでもらうことはない。
俺がやったことは、
人として身勝手すぎる
行動だったから。
結月は、やっと立ち直り
前に進んでいる
それを支えてくれる
素敵な男性が隣にいたよ。
結婚に踏み切るのに
時間がかかったようだ。
俺のせいなんだ。
だから今からは、
結月の幸せだけを願いながら、
新転地を配慮してくれた
支店長のためにも
ここで頑張ってみるよ。
心春は、ゆっくり休んで
また、健康になって
戻ってこい。