守るべきは・・・誰
☆☆前に進める
湊が、五才になり
希音は、一才となった
ある日、海の見える
公園に家族で遊びにやってきた。
今日は久々に、
輝も休みで、
結月も仕事が、
一段落をしたので········
今、湊は幼稚園に通い
希音は、保育園と
両家のおばあちゃんの
お世話になっている。
恭子さんも待望の赤ちゃんが
出来、産休中のため
結月が依頼を一気に受けている。
輝は、支店長から
統括マネージャーとなり
あちこちの支社や支店を
回り指導をしたり
相談を受けたりする仕事を
こなしていた。
紬も春斗さんと結婚をして
現在は、専業主婦をしているので
良く遊びにきてくれていた。
予行練習になるから····と。
湊は、
サッカーボールを蹴りながら
遊んでいる
そんな湊を
輝が追い回していた。
ボールを見ていて
前をみてなかった湊が
男の人にぶつかり
尻餅をついた。
輝は走り、
その場に向かう
結月は、
「あっ」
と、慌てて希音を連れて向かう
輝がぶつかった男性と
話をしている
湊は、頭を下げていて
その湊の頭に
男性が手を置いて
頭を撫でていた。
近づくと········
「うん、大きくなったら
サッカー選手になりたいんだ。」
と、話す湊に
「そっか、きっとなれるよ。
頑張ってね。」
と、男性が言うと
「うん、ありがとう。」
と、笑顔の湊。
輝は、私に気づくと
こちらにきて
希音を抱き上げてくれた。
パパ好きの希音は
きゃーっ、きゃーっ
と、嬉しそう
私は、男性に
「息子が申し訳ありません。
お怪我は、ありませんか?」
と、言うと
「いいえ、大丈夫ですよ。
可愛いお子さんですね。
結月。」
「えっ、ええっ········陸?····」
「うん。ご主人でわかったよ。」
と、言われて
輝をみると、輝が頷いた。
「ママの、友達?」
と、湊に訊かれて
「えっ·······
なんと答えてよいか
言い淀むわたしに
「そうだよ。ママの大切な
お友達だよ。
湊、ご挨拶は?」
と、輝に言われて
私を見る湊に
私が頷くと
「しょうない、みなとです。
見てなくて、ぶつかって
ごめんなさい。」
と、言うと
陸は、びっくりした顔をしたが
湊の目線に座り
「初めまして
きはら、りくと言います。
さっきも謝ってもらったけど
見た目は、なよっとして
見えるかもしれないけど
大丈夫だよ。
僕こそ、避けきれなくてごめんね。」
と、言うと
「ううん、ボールを蹴るときは
人がいないか確認して
と、パパに言われていたのに。」
「そうか、湊君はパパは好きなんだね。」
「うん、大好き。
ママもみのんも大好き。
今日から、りくおじちゃんも好き。」
と、湊が言うと
陸は、目に涙をためながら
「ありがとう。
とっても、嬉しい。
おじさんね、
昔、とっても大好きな人を
傷つけてしまってね。
ずっと、後悔してきたんだ。
だから、湊君は、
大好きな人を大切にしてね。
おじちゃんみたいにならないでね。
じゃ、またね。」
と、湊の頭を撫でる陸
「うん、約束する。
またね、りくおじちゃん。」
と、湊が言うと
陸は、輝と結月に頭を下げて
立ち去った。
立ち去る陸に
「りくっ、ありがとう。
陸 も、幸せになってね。」
と、結月が言うと
陸は、背中を向けたまま
手を上げて、そのまま歩いていった。
そんな私を輝は、
希音を抱いていない方の手で
抱き締めてくれて
「彼も、きっと
前に進めるよ。」
「うん。
輝、ありがとう。
愛してる。」
「くすっ、嬉しいな。
俺も、ゆずを愛してるよ。」
陸は、前回あったときよりも
元の陸に近くなっていた。
陸にも守らないといけない人を
見つけて欲しい。
私と輝は、そう強く願った。