守るべきは・・・誰
5】
☆☆もう···やめて
仕事が終わり
少し遅くなりながら
恭子さんと退社した。
恭子さんの旦那さんは
同じ会社の建設部門にいる
瀬尾 孝(せお たかし)さん。
建設部門の課長さんだ。
とても仲のよい夫婦で
そんな二人を
私は尊敬している。
家に帰りたくないが
買い物をして
帰宅すると
玄関に陸の靴があった。
玄関を開けた音に
陸が慌てて出てきて
「おかえり、結月。」
と、言われて
私は、陸の顔を見ずに
「ただいま、早かったんだね。」
と、言いながら
陸の横を通り抜けた。
平日は、私より先に帰る事が
少ない陸が
彼女が絡むと早いんだ。
と、思ってしまう
私は、意地が悪いのだろうか
嫌になる。
キッチンに入り
料理をはじめると
陸は、落ち着きなさげに
うろうろしていた。
簡単な物を作り
二人で食べる。
いつもなら、
その日にあった事を話したり、
楽しく食事をするのだが
なにも話さずに
ひたすら食べていた。
陸は、チロチロ
私に目線を寄越すが
私は、知らない顔をしていた。
何と言ってよいのかも
わからなかったから・・・・・
後片付けをしているうちに
陸がお風呂に入り
私もお風呂を済ませて
ミネラルウォーターの
ペットボトルを持ち
仕事部屋に向かうと
「結月、話を聞いて欲しいんだ。」
と、また、陸が言い出した。
「なに?昨日の話なら
聞きたくない。
私、仕事で確認したいことあるから」
と、言うと
陸は、一方的に話し始めた。
「彼女の両親は離婚して
父親は、別の家庭を持ち
母親は、海外に永住しているだ。
だから、彼女は他に頼る人がいないんだよ。
昔から彼女の両親は、
彼女に興味がまったくなくて。」
「それでも、自分達の娘が
病気なんだよ。
心配になるんじゃないの?」
「そんな人達じゃないんだ。」
「なぜ、そんなことがわかるの?」
「高校の時に、彼女の両親は
離婚したんだが。その前から
彼女に対して愛情とかなかった。」
「高校の時からの
付き合いだったんだ?」
「‥‥‥‥‥うん。」
「・・・・・・そう・・」
「結月、頼む。
一人で行かせたくないんだ。」
と、必死に言う陸に
「わかりました。」
と、言うと
「本当か?ありがとう。
結月なら、そう言ってくれると
思っていた。」
と、ホっとしながら言う陸に
「好きにしたらいいよ。
私が、嫌だと言っても
陸の中では、決めているのでしょ
なら、私に聞く必要ないじゃない。」
と、何を言っても
無駄だと思い
「勝手に決めて、悪いと思っている
だけど、一人ぼっちではあまりにも
辛すぎるだろ?」
と、言う陸に
「私は、一人でも平気だけど
彼女が、一人だと平気では
ないんだね。
陸の気持ちは、
もう、私にないんじゃない!!」
と、抑えていたが気持ちをぶつけて
みたが····
「そんなことない。
そんなこと、言ってない。
結月は、元気じゃないか
心春とは、違う。」
と、彼女、心春さんを気遣う陸
「心春さんというんだ。
大切なんだね。」
と、言って私は仕事部屋に入り
中から鍵をした。
鍵は、つけていたが
今まで一度も使った事はなかった。
部屋に入り
涙が止まらなかった。