【完】ボクと風俗嬢と琴の音
「琴音~~~!!!!ただいまぁ~~!!!」
扉を開けた瞬間からデレデレ顔。
最初に会った時は仏頂面しかしないし、クールな人かと思ったけど
彼が琴音に見せる笑顔は甘い。
そしてそれに応えるように琴音はハルの肩に飛び乗っておかえりなさいの挨拶。
リビングに並ぶ、ふたつの座椅子。
元々ハルの家にあった紺色の座椅子と、引っ越し祝いだと買ってくれたピンク色の座椅子はわたし専用。
それに寄りかかりお菓子を食べていると、スーツ姿のハルが鞄を置いて「ただいま!」と声を掛ける。
「おかえりなさーい!!!」
一緒に暮らしたら、その人の嫌なところも沢山分かる。
だって血の繋がってる家族関でも問題は起こってしまう時代だし
けれど正反対だと思われたわたしとハルは、思いのほか一緒に暮らし始めて上手くいってると思う。
ハルはどう考えているか知らないけど。
「またお菓子食ってる」
ちょっとお母さんみたいなところがあるけど。
「あ、琴音にご飯あげてくれたんだ。
ありがとう、助かる」
「いえいえ~!ハルも食べる~?ぽてち~!」
「いや、いらないよ。体に悪いもん」
「出ましたぁ~健康志向~~」