【完】ボクと風俗嬢と琴の音


そそくさと部屋に行って、その部屋の中へと尻尾を立てた琴音も吸い込まれていく。
よっぽど嬉しいらしく、帰宅してから数分は付きまとう。
でもそれはハルだけにじゃない。わたしに対しても


だから猫が改めてこんなに可愛い生き物だと知る。
ハルの仕事だと最初は言っていたけれど、あまりの可愛さにご飯もあげちゃうし、一緒に遊んじゃうし、トイレ掃除まで手が空いていたらしてしまう始末だ。




一緒に暮らし始めて、すぐに猫が大好きになった。


ハルは部屋着に着替えてすぐにキッチンへ立つ。
その日のお弁当箱を洗って、夕食の準備に取り掛かる。


真面目な奴。って一緒に暮らし始めてつくづく思う。
毎日お弁当を作って、会社に持っていって、家に帰ってきたら夕食を作る。
その合間に家事までもこなしてしまって
マジでお母さん。


独身の一人暮らしなんてコンビニ弁当ばかりかと思ってた。
女であるわたしは料理なんて一切しないし、大嫌いなのに。


ハルは家事全般が得意だった。



「カレー作るけど、食う?」


「え?!いいと?!」


「いいとって…」


思わず気が抜けて出てしまう博多弁。
これでも抑えているつもりなんだけど、一緒に暮らしてるとついつい出てしまう。
それを笑って復唱するハル。実に楽しそうだ。


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