【完】ボクと風俗嬢と琴の音
ドライバーにラブホテルまで送ってもらって
指定された部屋まで行く。
「こんにちは~ココで~すっ!」
そこにいる自分は確かにわたし自身ではあったけれど
作り物の自分である。
だってわたし自身でこの仕事をしていたら、絶対誰だって病んでしまうと思う。
初めて会った人と裸の付き合いをする仕事なんだから。
「へぇー可愛い。ラッキー!ちいさ!」
「小さいってひどい~!」
「や、でも俺、小さい女の子好きだし、ラッキー!」
時間を決めて
その時間内はまるで恋人がするような行為をする。
風俗とひとくくりに言っても、色々な種類がある。
ここはデリヘルだから、本番はない。
口と手で奉仕して、イかせる。
これがまた、大変なんだ。
顎は疲れちゃうし
同じ体制でいるのもしんどいしさ。
本番しちゃった方が楽だったりしたりもする。
そして実際に店側には内緒で本番しちゃう子も少なくはない。
店関係では発生しない料金をいただいて、そしてそれを自分の懐に入れれちゃうわけだから。
暗黙の了解ってお店もあったりする。
でもわたしは風俗嬢ながらちっぽけなプライドがあった。
絶対に本番はしない。
どこかで線引きしていないと、人はどこまでも堕ちていけるものだから。